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知事発言集・令和6年度本庁部課長・出先機関の長合同会議 知事訓示

ページ番号:0252678 更新日:2024年4月5日更新

 皆さん、おはようございます。

 新しい体制で新年度がスタートしました。コロナ禍が明けて、社会経済が少し明るい兆しも出てきていますけれども、一方で様々な課題も生じているところです。こうした課題に対しまして、全庁一丸となって取り組んで県民福祉の向上に取り組んでいきたいと思います。今年度もどうぞよろしくお願いいたします。

 令和6年度のスタートに当たりまして、本日は、職員の皆さんと課題意識を共有して、ともに県政を進め、県民の皆様の期待にしっかりと応えていけるように、今年度の県政運営に関する私の考え方について申し上げたいと思います。

新たな未来に向けた県づくり

 今年度は、人口減少の克服に確かな道筋をつけていく、その新たなスタート、その重要な年となります。

 本県は、年間の出生数が8千人を下回り、その減少ペースも速まっています。少子化が加速し、また、女性を中心とする若者の県外への流出が少子化に拍車をかけています。こうした厳しい現状に、これまで以上に強い危機感を持っています。

 こうした状況を打開していくために、先般、第3期のまち・ひと・しごと創生総合戦略を策定しました。これに基づいて、本県の未来を支える若い世代のニーズに沿った取組をスピード感を持って進めて、その希望を叶えていくことで、若者に選ばれる、そうした山口県を実現していかなければいけません。

 また、人口減少下にあって、本県の更なる発展を目指していくためには、デジタル化や脱炭素化等の社会変革、これを新たな推進力にしていく必要があります。そうしながら、県づくりの取組をさらに進化をさせていくこと、このことが重要でありまして、これが人口減少の克服にもつながっていきます。

 折しも、現在、ニューヨーク・タイムズの記事を契機に、本県への注目が大きく高まっています。こうした絶好の機会を活かして、本県の強みである豊かな自然、そして歴史、暮らしやすさなど、様々な魅力を積極的に発信して、新たな人の流れと活力を力強く創出していきたいと考えています。

 そして、同時に、刻々と変化を続けている社会経済情勢や直面する課題にも迅速に、そして的確に対応していく必要があります。少子高齢化の進行をはじめ、企業の人手不足、そして物価の高騰の継続、また、いつどこでも起こり得る大規模自然災害への対応など、様々な課題に立ち向かい、山口県の確かな未来を創り上げていかなければいけません。

 職員の皆さんには、こうした考えを共有して、新しい未来に向けた県づくりの取組を積極的にその挑戦をしていただくことを、まずお願いしたいと思います。その上で、今年度の施策推進の方針について、私の考え方を申し上げます。

今年度の施策推進方針

 今年度の施策推進に当たりましては、3つの柱、「人口減少の克服と本県の更なる発展」、そして「社会経済情勢の変化等への対応」、また「行財政基盤の強化」。この3つを大きな柱として取組を進めていきます。

1 人口減少の克服と本県の更なる発展

 まず1つ目の柱は、「人口減少の克服と本県の更なる発展」です。

 冒頭申し上げたとおり、県政の最重要課題であります人口減少、これは一層深刻度を増しています。この現状を変えていくことに、総力を挙げて取り組んでいかなければいけません。

 このため、今年度の当初予算におきましては、その最大のターゲットとなる若者や女性の声、これにしっかりと耳を傾け、当事者のニーズに応えることができるよう、こうしたより効果的な施策に重点的な予算配分を行いました。県民の皆様に、取組のそうした成果を実感していただけるよう、着実にこれを実行していくことが必要であります。

<「少子化の流れ」を変える>

 まず、少子化の流れを変えることを目指して、若者が抱える子育て環境への不安ですとか、経済的な負担感、これを解消していきます。

 今年度から、国の「こども・子育て支援加速化プラン」に基づく支援、これに加えまして本県独自に、全国トップ水準の制度として、第2子以降の保育料の無償化を実現する、そのほか、不妊治療に対する手厚い支援制度を創設いたします。また、3才未満児クラスにおいて国の配置基準を上回る保育士の配置を支援するなどの少子化対策を抜本的に強化していきます。

 さらに、「こどもや子育てにやさしい休み方改革」もスタートします。親子で一緒に過ごすことができる時間を増やしていくことで、子育ての楽しさや喜びを実感していただき、そして、子育て中の方々を、社会全体で応援する機運を高めていくことにより、山口県で子育てすることの満足度を向上させていきます。

 また、加速している少子化を食い止めていくためには、若者の大半が、夫婦共働きを前提にした人生設計を描いていることを踏まえ、この若者の希望をしっかりと叶えていくことが重要です。

 このため、夫婦の共働き・共育てを定着させるための第一歩である男性育休の取得について、まずは、県庁が率先して、その目標を全国トップレベルの水準に引き上げました。各所属において、職員が安心して育休を取得できる環境を整えるなど、しっかりとマネジメントを行っていただくようにお願いいたします。

 そして、こうした取組を県内市町や民間企業に広げていくため、先般、県と市町が一丸となって取り組むことを共同アピールをしました。今後、奨励金を支給する制度等によって、共育てしやすい職場環境づくりに取り組む企業を強力にサポートしていく、このことも行いまして、「男性育休が当たり前」になる、そうした社会の実現を目指していきたいと考えています。

<「社会減の流れ」を断ち切る>

 次に、「社会減の流れを断ち切る」ための取組も強化します。県外流出が顕著な若者や女性の県内定着、還流を促進するためには、若者の、仕事を通じた社会貢献意識や、社会の変化に対応した知識・スキルの向上への高い意識、そして、県内企業の認知度が低いこと等の課題も踏まえ、若い世代のニーズに寄り添った施策を進めていかなければなりません。

 このため、まず、若者の県内就業の促進に向けて、若者自らが企画する企業紹介イベントの実施や県独自の就職サイトの機能強化等により、県内企業の仕事の社会的意義ややりがいをPRするなど、若者の価値観に響く情報発信を行っていきます。

 また、若者の希望に適う就業環境を実現するため、キャリアアップを支援する取組の強化とともに、ワーク・ライフ・バランスの充実や、県内企業の人手不足の解消にもつながる初任給等の引上げ、奨学金返還支援制度の創設を行う企業を積極的に支援していきます。

 さらに、若者の還流の促進に向けては、SNS等を活用した、暮らしや子育てのしやすさなど、本県の魅力を前面に出した情報発信や、お試し暮らし住宅の整備を進めるとともに、県内での就業等を促進する移住支援金も拡充するなど、きめ細やかな対応を行っていくこととしています。

 また、若者や女性の県外流出を食い止め、本県への流入を促進していくためには、活力の源である産業力を強化し、魅力ある雇用の場を創出をしていくことが重要です。

 このため、世界的に市場の拡大が見込まれる半導体、そして蓄電池、この分野や再生医療分野について、関連産業の育成や集積につながる研究開発等への支援を行うとともに、私自身が先頭に立って、優良企業の誘致をさらに推進していきます。

 また、本県産業の持続的な成長につながる脱炭素の実現に向けては、CO2排出削減に向けたコンビナート企業による先進的な連携事業をはじめ、県内企業の取組を引き続き強力に支援していきます。

 さらに、観光の分野では、本県への注目が高まっている、この絶好の機会を活かして、観光キャッチフレーズ「おいでませ ふくの国、山口」の下、豊かな自然や歴史、多彩な食などの観光資源を最大限活用しながら、戦略的なプロモーションを展開するとともに、観光周遊バスの運行等により、二次交通を充実し、インバウンドをはじめとした観光需要の獲得と県内全体への周遊を促進します。

<「住み良い地域社会」を創る>

 次に、人口減少下にあっても、未来への活力を創出し、県民が豊かで幸せに暮らせる社会を創っていくため、地域の維持・活性化につながる取組を充実・強化します。

 まず、デジタル改革については、引き続き、県民実感を最大化することをテーマに、県政の各分野・各地域におけるデジタル実装をさらに進めていきます。特に、今年度は、若者の多くが、本県の交通機関などの利便性の悪さを挙げていることを踏まえ、若者にとって魅力を感じ、暮らしやすく、住み続けたいと思うスマート社会を実現するため、自動運転技術などの先進的なデジタル技術を、県内でいち早く実装していきたいと考えています。

 また、コロナ禍の経験を踏まえ、県民の命と健康を守るため、本県の医療提供体制を一層強化することも重要です。このため、現在、基本計画の策定を進めている県立総合医療センターについて、将来にわたって本県の医療の中核的役割をしっかりと果たしていけるよう、機能強化に向けた取組を着実に進めていきます。

 さらに、山口きらら博記念公園について、この3月に策定した「山口きらら博記念公園みらいビジョン」に基づく取組を進め、幅広い世代の県民が集い、交流し、県民の活力を生み出す場となる拠点を創出するとともに、他の施設と連携することにより、県全体の活性化にもつなげていきます。

2 社会経済情勢の変化等への対応

 そして、2つ目の柱は、「社会経済情勢の変化等への対応」ということです。

 能登半島地震をはじめ、全国的にも自然災害が頻発化、激甚化をしています。そうした中で、県民の生命を守り、被害を最小限に抑えるため、事前の備えをしっかりと進めていくことが重要であると改めて強く認識しています。

 このため、ハード対策として、地震発生時に救助・救援活動を支える緊急輸送道路の防災対策を前倒しして実施するほか、緊急時の交通・物流等の代替性等の確保に資する山陰道の整備の促進や昨年大きな被害が発生した厚狭川の河川改修などを着実に進めていきます。

 また、ソフト対策としては、県民の防災意識を高めていくため、市町や自主防災組織等を通じた普及啓発を一層促進するとともに、被災者、とりわけ高齢者や障害者等の多様なニーズに応えることができるように、福祉支援活動の調整役を担う災害福祉支援センターを設置します。

 これに加え、本県の地震・津波による被害想定等の見直しに着手するほか、能登半島地震の検証で洗い出される課題等も踏まえ、必要な防災・減災対策を進めるなど、県民の安心・安全の確保に全力で取り組んでいきます。

 また、現下の物価高に対しては、本県の実情を踏まえ、引き続き、独自の対策を実施します。

 光熱費や食材料費の高騰対策、また、学校給食等に係る増加経費の支援などを行いますので、速やかな執行をお願いします。

3 行財政基盤の強化

 そして、3つ目の柱は、「行財政基盤の強化」です。

 人口減少の克服に向けた取組に挑戦をするとともに、急速な社会変革に柔軟に対応していくためには、その取組を将来にわたって支えることができる行財政基盤を一層強化していかなければいけません。

 このため、今後は新たな行財政改革に取り組むこととしており、行政DXの推進をはじめ、市町や民間等との連携による業務の効率化や生産性の向上など、それぞれの所管において、具体的な取組の検討をしっかりと行っていただくようにお願いします。

 また、昨年度スタートした「行政DX・新たな価値を創出する働き方改革」については、今年度、総務部に「やまぐちワークスタイルシフト推進室」を新たに設置しました。取組を更に前に進めていくことにします。人口減少社会において、限られた人的資源で、いかに行政サービスの維持・向上を図るかということが差し迫った問題となっています。業務や働き方を抜本的に見直していかなければいけません。

 若手職員を中心に寄せられた様々な提案の実現や、更なる業務改革にしっかりと取り組んでいきますので、職員の皆さんは、自らが、これからの県庁を変えていく、そして創っていく、そのような強い自覚を持って、デジタル技術を最大限に活用して、業務の効率化・高度化や県民目線に立った行政サービスの創出に積極的に取り組んでください。そして、その成果については、市町や民間企業等へ波及させていきたいと考えています。

職員としての心構え

 以上、今年度の施策推進の方針を申し上げました。

 ここで併せてまして、皆さんが、今後仕事を進めていく上での心構えについて、2点、お願いをさせていただきたいと思います。

1 県の施策をターゲットに届け、効果を最大化する

 1点目は、「県の施策をターゲットに届けて、効果を最大化する」ということです。

 それぞれの施策を実施する、その際には所期の目的を確実に達成することはもちろんですが、早期にかつ最大限に効果を高めて、県民の皆様に取組の成果を実感していただけるように、実施方法等について、工夫しながら取り組んでいただきたいと思います。

 特に意識をしていただきたいのは、まずは、施策のターゲットとする人、そして必要とする方々に、的確な情報提供、また、効果的な情報発信を行って、よく知ってもらうということ。そしてしっかりと活用していただいて、施策効果を行き届かせるということです。

 皆さんそれぞれが、様々な機会を捉えて、施策の内容や狙いが当事者・関係者に伝わるように、丁寧に説明を行っていただきたいと思いますし、どのような手法、また仕掛けを組み込んで展開するのが効果的であるのか、そうしたことにしっかりと知恵を絞っていただきたいと思います。

 そして、社会経済環境が大きく変化する中で、県民の意識・ニーズも常に変わっていきます。そうしたことにも十分留意をしていただきたいと思います。施策の効果をきめ細かく把握をして、現場に寄り添って、柔軟に対応しながら、素早く改善のサイクルを回して、施策の効果を高めていただくようにお願いをいたします。

2 危機管理の徹底

 そして2点目は、「危機管理の徹底」です。

 能登半島地震、また昨年の本県における豪雨災害など、自然災害は、いつどこでも起こり得るものです。そうしたものとして認識を持っておく必要があります。

 また、今年1月には、近年なかった鳥インフルエンザが発生しました。迅速な防疫措置や感染拡大防止に取り組んできたところです。

 こうした事態が発生した場合に被害を防いで、その軽減を図っていく、そのためには初動対応、これが極めて重要です。これがしっかりとできるかどうかによって、その後の結果が大きく変わっていきます。

 県民の皆様の安心・安全、そして暮らしを守るためには、職員一人ひとりが、常に緊張感を持って、危機管理の意識を持ち、十分な心構え、そして備えをしておかなければいけません。

 職員の皆さんには、各職場において、常日頃から、様々な情報の収集、また管理に努め、不測の事態に迅速に、そして的確に対応ができるように、その準備を怠ることのないよう、改めて強くお願いをしておきたいと思います。

終わりに

 以上、県政運営に関する考え方を申し上げました。

 人口減少をはじめ、多くの課題を乗り越えて、将来にわたって、県民誰もが山口ならではの豊かさ、そして幸せを実感できる「安心で希望と活力に満ちた山口県」を実現していく、その強い決意を持って、今年度の県政運営に取り組んでいきたいと思います。

 職員の皆さんにも、今年一年、同じ志を持って、積極果敢に挑戦を重ねていただくことを強く期待をしております。

 今年一年、共に頑張っていきましょう。よろしくお願いします。